てんかんは、脳の一時的な過剰興奮により「てんかん発作」を繰り返す疾患です。 この発作では、意識を失ったり、けいれんを伴うことが多いのが特徴です。
てんかんの発作の種類や症状は、脳の病変部位や発症年齢により異なります。 子どもに見られるてんかんは成長とともに発作がなくなる場合もありますが、成人や高齢者では継続的な治療が必要となることが多いです。
てんかんは子どもから高齢者まで幅広い年代で起こる慢性の神経疾患です。当院では、神経内科専門医がMRIや脳波検査などを用いて正確な診断と再発予防に努めています。上記の症状がある方は、早めにご相談ください。
てんかんは、脳の神経細胞が一時的に異常な電気信号を発することで発作が起こる疾患です。原因は多岐にわたり、以下のように分類されます。
所見により以下のように分類されます。
意識が保たれる発作です。片方の手足や顔のつっぱり・けいれんあるいはしびれがみられたり、実際にはないものが見えたり、聴こえたり、上腹部からのこみ上げ感・なつかしい感じがしたり、訳もなく怖い感じ・さみしい感じにおそわれたりする発作です。
意識がなくなる発作で、成人によく見られる発作です。ご高齢の方にみられるてんかんではこの発作が約半数を占めます。欠神発作と同様、ボーっとなり、今までしていた動作を止めて、呼びかけても応答がなくなる発作です。持続は欠神発作より長く、数十秒~数分間です。口をモグモグ・クチャクチャさせたり、手足をモゾモゾ動かしたり、片方の手を不自然な格好につっぱらせたりする動きがみられることもあります。
全身が硬直した後、ガクガクとけいれんを繰り返します。 発作後にはもうろう状態がみられたり、眠ってしまったりすることが多い。
子供に多い発作で、ボーっとなり、今までしていた動作を止めて、呼びかけても応答がなくなる発作です。5~15秒ほどで、再び元の動作に戻ります。短い発作では周囲の人が気づかないこともあります。
筋肉が一瞬で緩み、崩れ落ちるように倒れる発作です。
手足、体、顔などの筋肉が一瞬ピクッとなる発作です。発作により物を落としたり、転んだりします。一瞬なので意識の障害があるかどうかは分かりません。思春期に発症する若年ミオクロニーてんかんという病気では、朝起きてすぐに起きる手のミオクロニー発作が特徴的です。朝方、コップや物を落とすことで、家族が発作に気づくことがあります。
「てんかん重積状態」とは、以下のような発作が30分以上続く、または意識が回復しないまま繰り返される重篤な状態です。発作が止まらない、連続して何度も発作が起こる、意識が戻らず呼吸が不安定になる、この状態は救急対応が必要な緊急疾患であり、早急な医療介入が生命・予後に直結します。発作が5分以上続く場合や意識が戻らない場合には、すぐに救急車を呼ぶことが重要です。
脳波検査は、脳の電気的な活動を記録することで、てんかんをはじめとする脳の異常を調べるための重要な検査です。頭皮に電極を装着し、安静時や睡眠時の脳の電気信号を測定することで、てんかん特有の異常波の有無を確認できます。これにより、発作のタイプや起きやすい時間帯、脳のどの部位が関係しているかなどを把握することができます。
てんかんの診断や鑑別のために行う代表的な画像検査がMRIです。MRIは脳の構造を詳細に映し出すことができるため、てんかんの原因となる脳の異常(脳腫瘍、脳血管奇形、脳の萎縮や瘢痕など)を明確に把握するのに非常に有効です。当院では1.5テスラMRIを導入しており、高精度な画像により小さな病変も見逃さずに診断を行います。
てんかんの診断において、血液検査は直接的な診断手段ではありませんが、発作の背景にある全身状態や他の疾患を把握するうえで欠かせない検査です。特に、低血糖・電解質異常・感染症・肝機能障害・腎機能障害など、発作の原因や誘因となり得る異常がないかを調べます。
当院にはてんかん専門医が在籍しており、これらの検査結果を基に、的確で迅速な診断を行います。 診断には発作の詳細な記録(脳波)が重要です。 患者様やご家族が発作の状況を動画に記録することは、医師が診断を下す際に非常に役立ちます。
※てんかん専門医は非常勤のため、診察日についてはお知らせからご確認ください。
てんかんの治療は、主に薬物療法が中心となり、抗てんかん薬によって発作をコントロールすることが基本です。発作を安定的に抑えることで、患者様の日常生活の安全性を高め、仕事や学業、家庭生活などをより快適に過ごしていただけるよう支援します。使用する薬剤は数多くあり、発作の種類(部分発作・全般発作など)や発作の頻度、年齢、性別、妊娠の有無、他の持病との兼ね合いなどを考慮して、最適なものを選択します。
治療の効果や副作用を丁寧に確認しながら、必要に応じて薬の種類や量を調整し、長期的な安定を目指していきます。