「慢性的な頭痛に困っている」「突然、強い頭痛がして不安になった」
そんな経験はありませんか?また、ご家族や身近な方が頭痛に悩まされていることもあるかもしれません。
日本では、約3,000万人もの人が何らかの頭痛に悩んでいるといわれています。頭痛には、日常生活にほとんど影響しないものから、放置すると命に関わる重篤な疾患が原因のものまで、さまざまなタイプがあります。まずは頭痛の原因を正しく知り、適切に対処することが大切です。
頭痛の原因を正しく見極めるには、以下のポイントを整理して医師に伝えることが大切です。
こうした情報が診断や治療の精度を高め、より的確な対応につながります。
前頭部にズキズキと脈打つような痛みが現れる場合、片頭痛が考えられます。痛みはこめかみや目の奥にまで広がることがあり、光や音に敏感になったり、吐き気を伴うこともあります。一方で、副鼻腔炎(蓄膿症)による頭痛は、鼻づまりや鼻水、顔面の圧迫感が特徴で、風邪を引いた後に発症することが多く、頭を下げたときに痛みが強くなることもあります。慢性化すると鈍く重い痛みが続く傾向があります。
緊張型頭痛では、長時間のデスクワークやストレスによって首や肩の筋肉がこわばり、後頭部から頭全体にかけて締めつけられるような鈍い痛みが生じます。日常的に見られるタイプで、慢性的に続くこともあります。また、突然の強い後頭部の痛みが現れた場合は、椎骨動脈解離などの血管性の病気も疑われます。この場合は、首の動きや頭の回転が引き金になることがあり、早急な検査と治療が必要です。
側頭部の痛みも片頭痛や緊張型頭痛で起こることがありますが、特に高齢者に注意が必要なのが側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)です。側頭部のズキズキする痛みや、こめかみの腫れ、あごのだるさ、視力の異常などを伴うことがあり、放置すると失明に至ることもあります。早期診断とステロイド治療が必要です。
脳卒中は、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、破れて出血する「脳出血」や「くも膜下出血」などの総称です。
突然のまひや言語障害、意識障害などの症状が現れ、早急な対応が命を左右します。高血圧や糖尿病などが主なリスク要因で、予防には生活習慣の改善と定期的な検診が大切です。
脳腫瘍は、脳やその周囲にできる腫瘍で、良性と悪性があります。腫瘍が大きくなると、頭痛、吐き気、けいれん、視覚や言語の障害、手足のまひなどの症状が現れます。症状は腫瘍の位置や大きさによって異なり、早期発見と正確な診断が重要です。MRIなどの画像検査により発見され、治療には手術や放射線、薬物療法などが用いられます。
脳炎・髄膜炎は、脳や脳を覆う膜(髄膜)に炎症が起こる病気です。ウイルスや細菌などの感染が主な原因で、高熱、頭痛、意識障害、けいれん、首のこわばりなどの症状が現れます。重症化すると命に関わることもあり、早期診断と治療が重要です。特に乳幼児や高齢者では注意が必要で、症状に気づいたら早めにご相談ください。
片頭痛は、頭の片側または両側にズキズキと脈打つような痛みが起こる頭痛で、吐き気や嘔吐、光や音に敏感になるといった症状を伴うことがあります。発作は数時間から数日続くこともあり、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。ストレスや睡眠不足、ホルモンバランスの変化、特定の食品などが誘因となる場合があり、原因を見極めて対処することが大切です。
緊張型頭痛は、頭全体や後頭部が締めつけられるような痛みが特徴で、最も一般的な慢性頭痛です。ストレスや長時間の同じ姿勢、目の疲れ、肩や首のこりなどが原因とされます。片頭痛のような吐き気は少なく、痛みは比較的軽度ですが、長時間続くことがあります。生活習慣の見直しやストレッチ、リラックスする時間を持つことが予防と改善につながります。薬だけに頼らず、原因への対処が大切です。
群発頭痛は、片目の奥に激しい痛みが生じる頭痛で、一定の期間に集中して繰り返し発作が起こるのが特徴です。1回の痛みは15分~3時間程度で、毎日同じ時間帯に起こることもあります。目の充血や涙、鼻づまりなどの症状を伴い、“自殺頭痛”とも形容されるほど非常に強い痛みを伴います。原因ははっきりしていませんが、飲酒や喫煙が誘因となることもあり、専門的な治療が必要です。
副鼻腔炎による頭痛は、副鼻腔に炎症が起きて膿がたまり、圧力がかかることで生じます。鼻づまりや鼻水、顔の重だるさを伴い、前頭部や頬のあたりに鈍い痛みを感じるのが特徴です。頭を下げたときに痛みが強まることもあります。慢性化すると痛みが長引くため、早めの治療が大切です。抗菌薬や鼻洗浄などで改善が期待できます。
当院では、頭痛の原因を正確に診断し、患者様一人ひとりに最適な治療を提供しています。問診や診察に加え、必要に応じて即日撮影可能な頭部MRIを活用し、頭痛の種類を見極めて治療を行います。発作時には痛みを和らげる急性期治療薬(トリプタン系薬剤、ジタン系薬剤)を用い、発作の頻度を減らす予防薬も組み合わせて治療を行います。
また、従来の治療で効果が不十分な患者様には、CGRP製剤(エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ)といった最新の注射治療も提供可能です。これにより、多くの患者様が症状の改善を実感されています。さらに、在宅自己注射への移行もサポートしており、保険制度を活用した費用負担の軽減についてもご案内します。頭痛に悩まれている方はぜひ当院の頭痛外来をご利用ください。