しびれとは、「じんじん」「びりびり」といった感覚の異常が現れる症状で、本来感じるべきでない感覚が生じる「陽性症状」に分類されます。例えば、長時間正座をした後に手足がしびれるのは、血流が一時的に遮断されることで起こる典型例です。
この場合のしびれは一時的であり、血流が回復すれば自然に解消します。しかし、姿勢や動作に関係なくしびれが持続する場合、神経や血管に障害が生じている可能性があります。
原因によっては治療が必要な場合もあるため、しびれが長期間続く、または悪化する場合には、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
しびれは感覚だけの異常にとどまらず、さまざまな症状を伴うことがあります。以下のような症状が現れる場合、神経や血管の障害が原因の可能性が高いです。
これらの症状が見られる場合、原因を特定するための検査を行うことが重要です。
脳の障害によって起こるしびれは、片側の手足に現れることが多く、早急な診断と治療が必要です
脳卒中では脳の血流が遮断される(脳梗塞)か、血管が破れる(脳出血、くも膜下出血)ことで、神経に障害が生じます。特に脳卒中の前兆である「一過性脳虚血発作(TIA)」では、半身のしびれが数分から数十分続き、その後症状が一旦消失します。脳卒中が疑われる場合、速やかに医療機関を受診することが命を守る鍵となります。
脳腫瘍が感覚神経を圧迫すると、しびれを引き起こす場合があります。このしびれは頭痛や吐き気、嘔吐を伴うことが多いため、注意が必要です。
脊椎に障害がある場合、神経が圧迫されてしびれが現れます。以下のような疾患が挙げられます。
加齢に伴い頸椎の骨が変形したり、椎間板が突出して神経を圧迫します。これにより、肩や腕、肘など離れた部位にもしびれが現れることがあります。
頸椎または腰椎で、椎間板の中にある「髄核」が飛び出して神経を圧迫することで、手足や腰にしびれや痛みが生じます。
背骨の後ろにある靭帯が骨化することで脊髄を圧迫し、しびれや運動麻痺を引き起こします。この疾患は難病に指定されているため、専門的な診断や治療が必要です。
末梢神経の圧迫や損傷により、しびれが発生することがあります。
首や肩周辺の筋肉が神経や血管を圧迫し、手や腕のしびれや痛みを引き起こします。特に20代女性やなで肩の方に多い疾患です。
手首の「手根管」で神経が圧迫されることで、親指から薬指の半分までしびれや痛みが現れます。症状が進行すると、物をつかむことが難しくなる場合があります。
内科的疾患が原因でしびれが起こることもあります。代表的なものとして以下が挙げられます。
糖尿病の合併症として発生し、初期には足の指先にしびれが現れます。
ビタミンB1やB12の不足は、神経の働きを低下させ、脚気や神経障害を引き起こします。
しびれの原因を特定するためには、さまざまな検査を組み合わせて行います。
患者様の姿勢や歩行、座る動作を観察し、神経学的診察を行います。どの部位にどのようなしびれがあるのかを詳細に記録します。
MRIを用いて、脳や脊髄、末梢神経に障害がある部位を特定します。
糖尿病やビタミン不足といった内科的疾患が原因の場合、血液検査でその疾患の可能性を確認します。
しびれが日常的に続いたり、片側の手足だけに現れる場合、それは脳や神経系の疾患のサインかもしれません。特に、突然のしびれや感覚の異常を感じた場合は、速やかに医療機関で診察を受けることが重要です。適切な検査と診断を受けることで、しびれの原因を特定し、早期治療が可能となります。
「一時的なものだろう」と軽視せず、症状に気づいた時点で受診することをおすすめします。どのようなしびれであっても、お気軽に当院までご相談ください。