難聴と耳鳴りの関係

難聴は耳鳴りの主な原因の一つです。難聴が起こると、聞こえにくくなった音を補おうと脳が聴覚の感度を過剰に高めることで、その結果、実際には存在しない音が「耳鳴り」として聞こえるようになるのです。

特に加齢や音響外傷、薬剤性の影響による難聴が関連している場合が多いです。耳鳴りは、難聴以外にも外耳・中耳・内耳の病気、脳の異常、ストレスや疲労など、さまざまな原因で引き起こされる可能性があります。

耳鳴りと脳の異常

耳鳴りの中には、脳の異常が関与するものもあります。脳の血管や神経に問題がある場合、耳鳴りが症状として現れることがあります。

片頭痛

片頭痛の発作では、脳の血管が拡張や炎症を起こすことが耳鳴りを引き起こす原因になる場合があります。片頭痛に伴う耳鳴りは、頭痛や吐き気、光や音への過敏反応とともに現れることが一般的です。

中枢性めまい

脳卒中に関連するめまいでは、耳鳴りが重要なサインになることがあります。中枢性めまいでは、手足のしびれや舌のもつれ、視覚異常などの症状が同時に現れることがあります。

硬膜動静脈瘻

脳の動脈と静脈の間に異常な短絡が生じる病気で、「拍動性耳鳴り」が特徴です。血流の乱れにより「ドクドク」とした音が聞こえ、放置すると脳出血のリスクが高まるため、早期診断と治療が必要です。

耳鳴りの主な原因

外耳の病気

耳垢栓塞

耳垢が過剰にたまり外耳道をふさぐことで、音が遮られ耳鳴りが発生することがあります。

中耳の病気

急性中耳炎・慢性中耳炎

中耳に炎症が起こり、鼓膜や耳小骨の動きに影響を与えることで耳鳴りが発生します。

耳管狭窄症

中耳と鼻をつなぐ耳管が閉塞すると、耳が詰まった感覚や耳鳴りを引き起こします。

内耳の病気

内耳炎

内耳の炎症が平衡感覚や聴覚に異常をきたし、耳鳴りを伴うことがあります。

メニエール病

内耳のリンパ液が過剰にたまり、耳鳴り、めまい、難聴を引き起こします。

突発性難聴

前触れなく片耳が突然聞こえなくなり、耳鳴りを伴うことがあります。

難聴

加齢性難聴

加齢に伴う内耳の有毛細胞の減少が耳鳴りを引き起こします。

騒音性難聴

大音量環境への長時間の曝露で発生します。

音響外傷

一時的な大音量（ライブ会場、ヘッドホンの大音量での使用）により耳鳴りが生じます。

その他の疾患

聴神経腫瘍

聴覚やバランス感覚を司る神経にできる良性腫瘍が、耳鳴りや難聴の原因となります。

血管疾患

動脈硬化や血管狭窄による血流の乱れが拍動性耳鳴りを引き起こすことがあります。

耳鳴りの治療

耳鳴りの治療は、原因の特定が重要です。原因が明確であれば、その治療を行うことで耳鳴りが改善する場合があります。

薬物療法

血流改善薬や抗不安薬が耳鳴りの緩和に用いられることがあります。

補聴器の使用

難聴に伴う耳鳴りでは、補聴器を使用することで脳の調節機能を正常化し、耳鳴りを軽減できます。

カウンセリング

ストレスが耳鳴りを悪化させる場合、心理的サポートやストレス管理が有効です。

耳鳴りでお困りの方へ

耳鳴りは、多くの人にとって一時的な現象ですが、症状が持続する場合や他の症状（めまい、しびれなど）を伴う場合は、重大な疾患の兆候である可能性があります。特に、拍動性耳鳴りや片側の耳鳴りは、早期診断が重要です。当院では、耳鳴りの原因を総合的に診断し、患者様一人ひとりに最適な治療を提供しています。

「軽い耳鳴りだから」と放置せず、ぜひご相談ください。